#5 菩薩 Bodhisattva【ロックンロールとハカタと、時々、スズ】

エンタメ

基本、50年代から60年代にかけてのロックンロールを錫製作イメージのスタート地点にしているのですが、今回は少し新しく70年代(といってももう今から4~50年前のことになるのですが…)にデビューしたスティーリー・ダンです。

スティーリー・ダンといえば、まずは「彩(エイジャ)」1977年や「ガウチョ」1980年が思い出されますが、ラテンやR&B、ソウルなどの中に、ジャズの要素を取り入れた音楽職人ユニットというスタイルは、クロスオーバーな音楽の頂点を極めた感があります。

インタビュアーが「あなた方の一番満足しているアルバムは?」との問いにウォルター・ベッカーが「カインド・オブ・ブルーだ。」と言ったのは印象的で、象徴的です。

マイルス・デイヴィスが行ったモード奏法の美しく自由な即興演奏は、ビル・エヴァンスがジャケット裏のライナーノートにも記されている通り、日本古来の水墨画を例にしてハイレベルの完成度あるマイルス楽団の作品を表現していますが、スティーリー・ダンの作り出す楽曲に通じるところがあると思います。

私は大学時代に、演奏はせずに音楽評論だけを行うというちょっと珍しい音楽研究部ジャズ課というところに所属していまして、マイルス、コルトレーン、エヴァンス、ロリンズなどバップ中心のジャズのなかで、その時期に流行っていたフュージョン系の楽曲の延長線上で、「ペグ」や「滅びゆく英雄」を単体で少し聴く程度でした。

本格的にスティーリー・ダンを聴き出したのは1995年の「アライヴ・イン・アメリカ」を購入してからで、その中の名曲「リーリン・イン・ジ・イヤーズ」がとても気に入ってしまい、その楽曲が入っているアルバムを買おうと思いCD屋さんで探しました。

その際、「これだけ完成度の高い洗練された楽曲は、恐らく70年代後半若しくは80年代のアルバムだろう。」と新しめのアルバムから探し始めたのですが、 見当たらず、まさかのデビューアルバムの「キャント・バイ・ア・スリル(72年リリース)」だった時の驚きは強烈でした。それからすぐに全アルバムを購入しました。

洗練されたスティーリー・ダンの楽曲も、当然ながらロックンロールのベースがあり、特に初期の頃のアルバムにはその要素が心地よく感じられます。(※ドナルド・フェイゲンの「ナイトフライ(82年リリース)」の中には、しっかりとドリフターズでおなじみリーバー&ストーラーの「ルビー・ベイビー」が収められています。)

ロックンロールって、本当に良いものですね。

SD DISH PAGE
https://htms.base.shop/items/33001155

スティーリー・ダンは、デビューが72年のジャスの要素を取り入れた音楽職人ユニットで、ドナルド・フェイゲン、ウォルター・ベッカーを軸として有名スタジオ・ミュージシャンを集めて完成度の高い楽曲を作り出しました。
今回は、スティーリー・ダンのセカンド・アルバム「エクスタシー(1973年リリース」の冒頭を飾るロックンロール「菩薩(Bodhisattva)」をイメージしてお皿をデザインしてみました。
中心のうっすらと光沢ある円形のくぼみは、東洋的な日本のイメージで、その周りを囲むように不規則に傷ついた金属的な柄を施した四角の皿です。裏面も外枠を削り、アクセントをつけています。
冷たいアイスやお刺身皿として是非お楽しみ下さい。

(高さ:2㎝前後×縦横:約13.4cm くぼみ円直径:約10㎝)
(重さ:230g前後)
【RR Rock&Roll】

錫は錆びにくく、銀のように黒ずんできたりしない金属です。また、長く観賞用として使用せずに置いてますと、これまた渋くてカッコいいブロンズ色になってきます。これも味があります。
いつまでも古ぼけずに円熟さを重ねるロックンロールのような感じがしてまして、数多あるロックンロール・アーティストの名曲を聴きながら独自のイメージで錫製品を作っています。
「はかた錫スタジオ」HP https://htms.base.shop

この記事について

「RR Rock&Roll HAKATA TIN」作家 / 村上 禎人
地元の福岡大学卒業後、博多の老舗百貨店宣伝企画から広告代理店を経て、錫作家・田中勝氏に師事
音楽の街/福岡から独自のRock&Rollをイメージした錫工芸の創作をスタート
創作する錫作品は、50~60年代アメリカのR&Rをイメージしたものが中心で、特にWall of Soundを嗜好し、敬愛するソングライターはEllie Greenwich、シンガーはDarlene Love、ミュージシャンはレッキング・クルーの面々。