#11 This Could Be the Night【ロックンロールとハカタと、時々、スズ】

エンタメ

先月、2021年1月16日81歳でフィル・スペクターが他界したとのニュースは、ロックに自由な某局の元上司の方からの連絡で知りました。

映画「ラブ・アンド・マーシー おわらないメロディー」の中のプライベート・プールで楽しんでいるシーンで、ブライアンが「小声で話せ!フィルに盗聴されている!」と怯えるところがありましたが、破天荒極まりない独裁的な音の革命児は、殺人罪で服役の中、波乱万丈の人生に幕を閉じました。

私が学生時代、誰からともなく聞いた話で「フィル・スペクターって要塞みたいな館に住んどるげな…。客人を招いては、その場で家のシャンデリアをピストルで撃ち落として見せて、それをバタバタと片付ける家の使用人を見ながらゲラゲラ笑ぉーとるって…。」スペクターの奇人変人ぶりを表す逸話は数多あります。それもそのはずというか、二十歳くらいの若者が、クリスタルズの「He’s a Rebel」でミリオンセラーを当てて億万長者になったわけですから、スペクターからすると世界が自分を中心に回っているという感じだったのでしょう。

私が音として、ウォール・オブ・サウンドを意識したのは、大瀧先生ではなく山下達郎さんがカバーされた「ディス・クッド・ビー・ザ・ナイト」を聴いてからでした。(※当然、達郎さんの作品はモノラルではありませんので、大瀧先生が言われる「モノラルのものをスピーカーに真向かいに向かって音像としてとらえる…」というものではありません。)78年に発表された達郎さんのアルバム「ゴー・アヘッド」の一曲ですが、勿論これはスペクター作品でモダン・フォーク・カルテッドが65~66年に発表した楽曲です。原曲は少しユニークな感じなのですが、達郎さんは、スペクター・サウンドを見事に昇華して制作されています。「なんて、奥深い立体的なサウンドなんだろう…。そういえば、この感覚は他でも感じたことがあるな…。」ということで先祖返り、ルーツを探るべくジューク・レコードに向かったのでした。

それから自分でもスペクター・サウンドを制作してみたいと思い、ワンナインさんに伺ってレコーディングをさせて頂くのですが、その時の私の認識は、「ウォール・オブ・サウンドというものは、レコーディング・ミキシングで表現されるものだ」というものでした。

当然ですが、本家スペクターや大瀧先生のように大勢の演奏者を一堂に会してレコーディングなどできませんので、基本打ち込みでハル・ブレインを思わせるようなドラムのオカズと打楽器を多用し、ジャック・ニッチェ風のストリングスなどをユニゾン・ダビングして、エコーを利かせつつ表現していくのですが、恐らく巷のスペクター・サウンド風な楽曲は一般的には、このような感じでレコーディングされていくのではないでしょうか。

しかし、スペクター自身は、自分のサウンドは、ミキシングの賜物ではなく、全てスタジオで行われているセッションの中で得られるものだと言っています。そして最後に、ほとんどの人は理解できないとも語っています。そもそもエコーだと思っていたものは、スタジオ特融の反射音であったとのことなのですが、これも実際に見て聴いていませんので想像するだけです。

しかし、だからこそ、「晩年のマネージャーって、ハル・ブレインの娘やったったい…」などというようなプチ情報も含めてスペクターの創り上げたサウンドに思いをはせることは素敵なことだと思います。その当時の魂のようなものは、現代においても形は変われども同じなのではと思っています。

ロックンロールよ、永遠に!

【工房】純錫 曲がり
https://htms.base.shop/items/32973776

ネットショップ「はかた錫スタジオ」では、私の師匠である田中勝「はかた錫工房」と共同で展開しています。

今回は、その「はかた錫工房」の人気アクセサリー商品「純錫 曲がり」をご紹介します。99.9スリーナイン錫で手作り製作したブレスレット。錫は柔らかい素材ですので自由に大きさを変えて楽しむことが出来ます。最初に小型水筒などに押し付けて丸く整形してご使用下さい。
「組ひも」「博多献上」「福うま」の種類があります。

錫は錆びにくく、銀のように黒ずんできたりしない金属です。(※しかし、あまり使用せずに長く観賞用として置いていますと、これまた渋くてカッコいいブロンズ色になってきます。これも味があります。)

なんとなくですが、いつまでも古ぼけずに円熟さを重ねるロックンロールのような感じがしていまして、数多あるロックンロール・アーティストの名曲を聴きながら独自のイメージで錫製品を作っています。 お時間があるときにどうぞご覧ください。

「はかた錫スタジオ」ポータルサイト開設
https://peraichi.com/landing_pages/view/hakata-tin

【工房】純錫 曲がり
https://htms.base.shop/items/32973776

この記事について

「RR Rock&Roll HAKATA TIN」作家 / 村上 禎人
地元の福岡大学卒業後、博多の老舗百貨店宣伝企画から広告代理店を経て、錫作家・田中勝氏に師事
音楽の街/福岡から独自のRock&Rollをイメージした錫工芸の創作をスタート
創作する錫作品は、50~60年代アメリカのR&Rをイメージしたものが中心で、特にWall of Soundを嗜好し、敬愛するソングライターはEllie Greenwich、シンガーはDarlene Love、ミュージシャンはレッキング・クルーの面々。