目指すはお客様から必要とされる鋼材屋 硬くて重い鉄の会社を支える、明るくて軽快な女性たち 【丸久鋼材株式会社】(下) 遊撃する中小企業 〜がんばってますけど、何か?

地域企業

代表取締役社長 待鳥 寿

丸久鋼材株式会社
創業:1966年2月15日
事業内容:一般建築用鋼材・鋼板の卸売及び加工
従業員数:105名
所在地:福岡県久留米市太郎原町1498-1
経営理念:物づくり・人づくり

当社の強みと未来 新工場を北野町に建設

全てのお客様に対応しようとすること、そして、実際に対応できること、これが当社の一番の強みだと思います。

未来について言いますと、新しい工場を同じ久留米市内の北野町というところに建設しました。これは信金さんの融資を使わせていただきました。本社工場があるこの地域は市街化調整区域で、もう工場や社屋などは建てられないのです。そんな時に今の土地を見つけ、当時の信金理事長さんにお話ししたところ、紹介していただけたのです。この工場では、溶接をしています。今、溶接の職人さんがどんどん減っています。お客様の会社で溶接の職人さんが減って困っていたり、当社を応援してくれていた鉄工所さんが跡継ぎがいないので廃業されたり、こういうケースがかなり増えています。当社で応援できることはないだろうかと考えまして、それで溶接の工場を建てたのです。お客様も、当社になら「溶接で間に合わん部分を応援してくれんか」と言いやすいだろうなと思いましたので。2020年の4月から稼働しており、ありがたいことに、すでにいろいろな仕事をさせていただいています。溶接ロボットも1台導入して、従業員にも溶接の資格を取らせています。建築資材はいろいろなパーツがありますので、手がかかって大変な部分を当社が請け負うようにしています。全部はちょっとできませんので。

建築・建設関係では、工場の大臣認定というのがあります。しかし、当社はまだ大臣認定の資格を持っていません。仕事を出してもらっても、認定工場ではないので受けられない場合もありますから、一応3年後には認定工場になろう、ということを社員には話しています。認定を取れば、お客様とより深くお付き合いができるようにもなりますから。

久留米工場、唐津工場、北野工場は、丸久鋼材の3本の矢

当社の業績は、2020年と2019年の売上高が72億円強でした。しかし、72億円と言っても鉄の値段が高くなって売上高が上がっただけだと私は思っています。これでは、鉄の相場が下がったらすぐに50億とかになってしまいます。50億円になっても利益を残すには、やはり付加価値を高めていくしかないです。売上高を追うのではなくて、中身が大事なのです。北野工場で加工をするとなると、材料は当社から出て行くので、材料も動きます。1つでは無理だけど、3つが支え合い補い合っていけるようになればいいな、と思っています。3本の矢ですね。1+1+1を3よりも大きくするのが理想です。それを実現するためには、3つの職場の社員の交流や親交が豊かに深まらないといけません。

年に2回、社員全員と面談をしてコミュニケーションを深める

社員とのコミュニケーションの深化のために、年に2回、社員全員と面談をしています。年2回ボーナスを渡すのですが、ボーナスの明細を渡すときに、全員と個人面談します。1回のボーナスで久留米の65人と唐津の40人。久留米は人数が多いので2日かけて、唐津は1日で、ということで朝7時からやります。これ、めちゃくちゃ疲れます。これを年に2回です。

そうして社員の話を聞く中で、職場環境が改善された事例もあります。直近ですと、唐津営業所の事務所と工場それぞれにトイレがあるとよいというのでトイレを増やしたり、曇りとか雨の日に伝票が見にくいというので、照明をLEDに変えたりしました。言われたことに対して少しでも何かやろうとすることで、きちんと言えば会社が応えてくれるのだ、という理解が広がるのは意義がありますね。

社員との個人面談で良い話を聞けることもあります。我々中小企業は、有給休暇を取りにくい雰囲気がずっとありました。私が社長になって、リフレッシュ休暇とか誕生日休暇という名目にして取りやすくしましょうという提案があり、まずそれを始めたのです。何年か続けたら、面談の時に「有給休暇の申請が非常にしやすくなりました」と言ってくれた社員がいました。よかったな、と思いました。

まだまだ小さな会社でいろいろ課題はありますが、新工場もできましたし、少しずつではありますが、成長していると感じますので、粘り強くやっていきます。

【若林宗男のココに注目!】

顧客満足度を高めることの重要性を、社員みんなが理解している。鋼材という硬くて重い素材をお客の要望に応じて自在に切り分け、折り曲げ、穴を開けて、さらには溶接して、建築現場ですぐに使える鋼材として納品する。そのことに誇りを持って仕事をしていることが感じられる。

硬くて重い鋼材の会社で、女性が活躍しているのがすばらしい。会社の受付や電話の対応をしている女性社員が、営業担当者とともにお客の会社を訪問するというのはなかなかないことだ。それだけではなく、工場で働いている女子社員がいる。工場は男の仕事場と決めつけずに、女性でも働ける職場にしようとしていることに可能性を感じる。男の社員だって、重い鉄材を素手で担いでいるわけではないのだから、女性も現場で活躍できるはずだ。また、機械が人間の弱いところを補ってくれるとしたら、雇用の幅が広がる。女性の取締役を作ったことも併せて、古い考えにとらわれず、新しい人材を取り入れていく会社の姿勢をとても魅力的だと感じた。

お客の注文を久留米からハノイに送り、ベトナム人がCADデータを作成し久留米に送信する。そういうサプライチェーンが短期間でもできたこと、そして、その経験を活かして本社のCAD室を整備したことは、丸久鋼材の将来の国際化にもプラスをもたらすと思われる。

ポイントまとめ〜お客様から必要とされる、柔軟で軽やかな鋼材屋

1.顧客のニーズに合わせた鋼材のオーダーメイド加工。
2.受付や電話対応、電話を受けた女性も企業訪問をするなど、営業面にも力を入れる。
3.現場へも女性を配属、取締役にも女性を登用。人材活用の可能性を広げる。
4.溶接の新工場を建設。さらなる顧客のニーズへ対応する。
5.3つの工場の連携でより深く顧客と付き合い、必要とされる会社へ。

(おわり)

この記事について

元気な中小企業は、地域の宝!
地域経済を牽引する数多くの中小企業のなかから、福岡・佐賀・長崎の元気企業を紹介します。
中小企業経営者の波乱万丈の物語から、地域に愛される秘訣、世界に誇れる技術など、企業と地域を元気にするヒントがここに!