健康志向の農産物直売所【めぐみの里】遊撃する中小企業 〜がんばってますけど、何か?

地域企業
まっすぐな人柄で地域の信頼も厚い宮﨑能秀代表。
佐賀県中小企業家同友会では支部長も務めています。

めぐみの里
佐賀県唐津市神田2266-7
TEL:0955-75-5453
HP:shop-megumi.com
通販サイト:shopmegumi.base.ec

母の思いが詰まった店をこのままにはできない。

唐津市西部の県道沿いに、個人経営の農産物直売所があります。一見普通の直売店ですが、並んでいるのは無農薬の野菜や果物、無添加の調味料や加工品など、健康志向の商品ばかり。この店を作ったのは地元に住む宮﨑數世さん。「安全でおいしい農産物を地域に届けたい」という思いから、高校教師を早期退職し、地元農家の力を借りて経営を始めました。現在の経営者は息子の宮﨑能秀氏ですが、そのまま引き継いだわけではなかったそうです。

長年地域の人に愛されてきた直売所。良い品物が揃っていることで定評があります。

「自分で飲食店など商売をやりたいと思っていたので、まず資金作りのため自衛隊に入りました。5年間勤めて除隊し、唐津に帰るタイミングで、母から『店を任せていた人が辞める』と聞いたんです。ちょうど食事や健康の大切さに気づき始めた時期だったので、チャンスかもしれないと思い、挑戦することにしました」

継いだ直後の店は商品が少なくて活気がなく、接客もいい加減で経営はジリ貧でしたが、品数を増やして丁寧な接客を指導し、商品を無農薬や有機栽培の野菜に絞っていくと、少しずつ健康志向のお客さんが集まるようになり、経営も上向きになっていきました。

地域の農業を守るため、 米づくりに参入。

経営者となり、地域の農家と接する中で実感したのは、農業を取り巻く様々な問題です。とりわけ、高齢化による後継者不足は深刻で、このままでは店に品物を出してくれる農家が減る一方だという危機感を持っていました。そこで昨年より始めたのが、自身での農業参入です。納入していただいていた農家が、20年間続けた無農薬の米づくりをやめると聞いて、迷わず引き継ぐことを申し出ました。

昨年から取り組んだ米づくり。
初めての農業でしたが、自衛隊で機械を扱った経験が役に立ちました。

農業も稲作も初めての挑戦でしたが、自衛隊で鍛えた体力と経験が役に立ち、春から3ヘクタールの水田に稲を植え付けました。その後は先輩農家たちの指導を仰ぎながら、水の調整や草刈りに奔走する日々。プロでも難しい無農薬栽培をなんとかやり切って、秋には9トンの米を収穫することができました。

宮﨑代表が作った無農薬のお米。
しっとりもちもちの食感と、甘みが強く、濃い食味が好評です。

食べてみると食味は上々。お客さんからも「もちもちした食感で味も濃く、おいしい」と好評で、一般の米よりやや高 めの値段にもかかわらず、売れ行きも好調です。「小さな一歩ですが、無農薬の田を守ることができました。これからも唐津の農業を守る活動を続けていきたいですね」と、進むべき方向が見えてきました。

商談会のご縁で仕入れた 無添加の醸造酢が評判に。

そんな中で始まったのが、同じように地域に根ざして活動している唐津信用金庫町田支店とのお付き合いです。しんきん合同商談会では、福岡県大川市で醸造酢を製造している (株)庄分酢さんとの商談をマッチングしました。その結果、先方の九州産米や果実などの原材料にこだわった無添加製法と、めぐみの里の方向性がマッチし、商談は無事に成立。販売開始後はお客さんからも「おいしい」と評判が良く、今後の取引量も増えていきそうです。

しんきん合同商談会が縁で販売が始まった「庄分酢」さんの商品。
味がついている「美味酢」はそのままドレッシングにも使えます。

母の興こした直売所を継いで約12年、健康志向に絞った商品の充実と、地域農業を支えていくという2つの方向性がはっきり見えてきました。一方でネット販売の拡充や、店舗の立地や面積などの問題、利益率の改善など、解決しなければならない課題がたくさんありますが、悩んだ時は所属する佐賀県中小企業家同友会や若手農家グループの仲間など、相談に乗ってくれる友人も増えました。来年はさらに2ヘクタールの耕地を引き受けるなど、ますます忙しくなりそうな宮﨑代表。地域に貢献するその活動を、唐津信用金庫も資金面ほか様々なサポートで応援していきます。

季節の農産物や花、調味料や加工品など、厳しい目でセレクトした商品でいっぱいの店内。

おわり

この記事について

元気な中小企業は、地域の宝!
「しんきん合同商談会〜中小企業における商売繁盛の祭典〜」に参加した福岡・佐賀・長崎の元気な中小企業を紹介します。
商談会を通して、販路開拓や調達先の拡大など。新たなビジネスの創出につながった多くの事例・ヒントがここに!