美味しい有明海苔を柳川から全国へ【株式会社 柳川海苔本舗】遊撃する中小企業 〜がんばってますけど、何か?
地域企業
長年鍛えた目と舌で、海苔の品質を瞬時に見極める技能は誰にも負けません。
株式会社 柳川海苔本舗
福岡県柳川市田脇 337-1
TEL:0944-72-6522
HP:https://yanagawanori.co.jp
美味しい有明海苔を柳川から全国へ
海苔はお米によく合う食材として、昔から日本人に愛されてきました。家庭での消費が減った昨今でも、コンビニのおにぎりや外食産業、贈答品などとして安定した需要があります。そんな海苔の国内最大の産地は福岡・佐賀・長崎・熊本の4県にまたがる有明海。遠浅で潮の干満が大きく、温度や養分など生育環境が最適なため、国内出荷量のうちの約半分を占めています(2020年度/全漁連、全海苔漁連調べ)。
海苔の漁期は11月中旬から3月終わり頃まで。収穫された海苔は各県の漁業組合連合会に集められ、定期的に入札会が行われます。海苔製造各社はそこで原料の海苔を買い入れ、自社の工場で加工して問屋や小売業者に出荷するという仕組みになっています。

株式会社柳川海苔本舗は、柳川市郊外に本社を構える海苔の加工・製造会社。柳川といえば川下りで知られる観光都市ですが、有明海に面して水産業が盛んで、海苔製造の会社も大小10社ほどあります。同社の創業は昭和30年。有明海の養殖技術の進歩とともに発展し、現在は年に数億枚もの海苔を扱う地域中核企業となっています。

全部で 35 人の社員により、年間を通じて海苔の加工を行い、日本全国のほかアジアにも出荷しています。
顧客の多様化を狙い合同商談会に初出展
同社の商品はこれまで和食店・寿司店・居酒屋など業務用が多く、北海道から沖縄まで全国の料理人から高い評価を得ていました。他にはホテルや旅館、飲食店、ゴルフ場などの食事用海苔を作るなど、幅広いニーズに細かく対応できるのが特徴です。
「最近は一般消費者向けの営業にも力を入れ始めたところで、贈答用の焼海苔や味付海苔などを増やしています。そんな時に大牟田柳川信用金庫さんからしんきん合同商談会にお誘いいただいたので、お取引が広がればと思い、初めて出展させていただくことにしました」と話す吉原社長。沖端支店とは先代の頃からのお付き合いが続いています。

焼・味付・塩の 3 種が 2 本ずつ入ったお得な内容です。
合同商談会では福岡の総合通販会社(株)はぴねすくらぶと商談を行い、成約に至りました。3種6本のセットがカタログとネットに掲載されて、その後も順調にオーダーが入っています。他にも通販会社への納入が決まったほか、乾燥農産加工品が得意な会社との商談も行い、材料の納入を行うことになりました。コロナの影響で業務用ニーズが大きく落ち込む中、これまで取引が無かった顧客の開拓は、同社にとって明るい希望となっています。
品質と対応力で広がるお取引
同社の強みは、質の高い海苔を見極める確かな目と、細かなオーダーにも応えることができる生産能力です。品質を保つため仕入れた海苔はすぐに火入れを行い、水分を飛ばしてから保管する保存法を実施。製品加工時に再び焼きを施すなど、海苔本来の風味と味を活かす製法を行っています。そんなこだわりが地元からも高い評価を受けて、柳川市のブランド推進協議会より「一番摘み味付のり」が柳川ブランドの認定品に選ばれました。市内のアンテナショップでの展開や大手百貨店のギフトにも選ばれるなど、今や同社の看板商品のひとつとなりつつあります。

いずれも秋に獲れる一番摘みの海苔を贅沢に使用しています。
「最近は外国から安い海苔が入ってきて、国産海苔を取り巻く状況は厳しくなっていますが、当社が競争できるのは品質や美味しさの部分。そこをしっかり守りながら、時代に合った商品を展開していこうと思います」
地道な努力により今では商品アイテムは約50種に増えて、香港やシンガポールなど海外との取引も広がっています。コロナ禍を乗り越えながら、新たな顧客獲得を目指す同社を、大牟田柳川信用金庫はこれからも支え、応援していきます。

醤油や昆布、いりこなどをブレンドした 秘伝のタレを使い、根強いファンも多い商品です。
おわり
この記事について
元気な中小企業は、地域の宝!
「しんきん合同商談会〜中小企業における商売繁盛の祭典〜」に参加した福岡・佐賀・長崎の元気な中小企業を紹介します。
商談会を通して、販路開拓や調達先の拡大など。新たなビジネスの創出につながった多くの事例・ヒントがここに!